カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー
カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー
この記事の写真をすべて見る

 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「大奥」(NHK総合 火曜22:00~)をウォッチした。

【画像】カトリーヌあやこ氏によるイラストはこちら

*  *  *

 まさかNHKで“3P”場面が流れるとは。とんでもなく攻めている「男女逆転大奥」なのだ。

 今回描かれるのは、三代将軍・家光(堀田真由)から五代・綱吉(仲里依紗)、八代・吉宗(冨永愛)の時代まで。

 若い男のみ感染する致死率80%の奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が蔓延し、男の数が激減した江戸時代という設定。

 日本の社会構造は激変し、男子は希少な種馬として育てられ、家光以降の将軍職は女子へと引き継がれることになる。

 ゆえに大奥は、美男三千人と謳われる男の世界。

 そして、ここから「男女逆転」ならではの妙が生まれるのだ。

 それが露わに描かれたのは綱吉編。世継ぎ・松姫を亡くし、父・桂昌院(竜雷太)から再びの子作りを迫られる綱吉。

 将軍になりながらも求められるのは、世継ぎを産むことだけ。男なら一年に何人も懐妊させられるだろうけど、女はそうはいかない。なんたって上様自ら出産するのだ!

 鮮やかな着物のすそを翻し、お鈴廊下の男たちを物色する綱吉を、皆「色狂い」と噂する。その噂に倣うかのように、寝間で男二人と絡みあう。

「さささ、3P!?」などと言ってる場合ではないのだ。綱吉を演じる仲里依紗が凄すぎて。

 艶めいた肌ににじむ汗。その身がかもし出す必死さ。恍惚と開く唇さえ哀れで、これは濡れ場というより涙に濡れる場。

 男同士密かに情を交わしていた二人に、目の前で「睦みあえ」と命じる綱吉。次の間に控えた大奥総取締・右衛門佐(山本耕史)が止めに入る。

次のページ