■朝ドラでの悔しい思い
また、8月23日に行われた今回の映画の完成報告試写会では、役作りのために喫煙をしていたことを告白。ニコチンやタールが入ってないタバコを日常に取り入れたという。喫煙者はご飯を食べてもお酒を飲んでいてもタバコを吸うというイメージがあったが、ご飯を食べて吸うと味覚がぐちゃぐちゃになり、慣れるまで苦労したという。そうした、体当たりの役作りはさすがといったところ。
「自身の性格について、『いつも自己分析しながら生きている』と、7月にインタビューで明かしていました。もう一人の自分が上から見ていて、自分が間違ったことをしていたら『違うよ』と言われているような感覚だとか。しかも、そんなときはすぐに訂正するそうです。常に客観的な視点を持っており、周囲から何が求められているのか、今何が必要なのかを的確に理解している。そうしたことも、演技の振れ幅につながっているのでしょう」(同)
永野について「ハードな朝ドラ撮影も乗り越え、強さも身に付いてきた」と言うのは民放ドラマ制作スタッフだ。
「ヒロインを務めた『半分、青い。』では月曜日がリハーサルなので、前日の日曜夜から寝ずに1週間分のセリフを覚えていたという話は有名です。それでもセリフが出てこなかったこともあり、ひたすら悔しさを抱えながら10カ月、頑張ったそうです。そうした苦しい時期を乗り越えた経験があったからこそ、今は新しい役に気後れせずに対応できているのでしょう」
ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、永野の今後についてこう分析する。
「朝ドラの清純派ヒロインとして知名度を上げましたが、今回の映画では俳優として新たな境地に進んでいこうとする姿勢がうかがえます。ベースに清潔感があるので、たとえ汚れ役を演じても好感度は損なわれにくいでしょう。現在の主な活躍の場はドラマと映画ですが、ほぼ未経験と言っても良いのが舞台。映像とはまた違った独自の世界で、これまでさまざまな若手俳優が舞台で鍛えられ、その才能を開花していきました。そこで彼女が何を感じ、どんな芝居を見せてくれるのかは興味のあるところです。20代はさまざまな仕事や役に積極的にチャレンジするにはうってつけの年代。演技の幅を可能な限り広げていってほしいですね」
若手女優の中では、頭ひとつ抜きんでた存在になってきた永野。今後も「清純派」の殻をどんどん破ってくれそうで楽しみだ。(丸山ひろし)