実は、オンラインによる処方薬の配送サービスは2年前から大手調剤薬局チェーンを中心に国内でも始まっている。その一つが日本調剤のオンライン服薬指導・薬局サービス「NiCOMS(ニコムス)」だ。

 それはどんなサービスなのか? 体験してみることにした。

日本調剤のニコムス予約画面(撮影/米倉昭仁)
日本調剤のニコムス予約画面(撮影/米倉昭仁)

 まず、スマホで日本調剤のホームページにアクセスし、NiCOMSに名前や生年月日、住所などの利用者情報を入力する。さらに健康保険証とクレジットカードを登録。これで準備完了だ。

 筆者はかかりつけ医が発行した処方箋を手に、日本調剤・旗の台薬局(品川区)を訪ねた。受付に処方箋を出す際「オンラインでお願いします」と告げる。手続きはたったそれだけだ。

 処方された薬についての説明(服薬指導)はあらかじめ予約した時間にスマホで受けられる。NiCOMSを開くと、画面に薬剤師の姿が現れた。「本日、担当する◯◯と申します。よろしくお願いいたします」。薬について丁寧な説明がされるほか、質問も自由にできる。最後に「お支払い」アイコンをタップしてクレジットカードで支払った(代引きも可能)。料金は薬代プラス送料(300円)。処方薬は翌朝、宅配便で自宅に届けられた。実にスムーズである。

今は患者全体の3~5%

 旗の台薬局を訪ねた際、オンラインサービスについて、患者からどんな声がよせられているのか、羽鳥良主任に聞いた。

「オンラインを希望される患者様にはさまざまな理由がありますが、『時間』と『場所』の制約がなくなるという、大きな二つのメリットがあります。例えば、『一包化(複数の薬を1袋ずつパックすること)』には結構時間がかかりますが、オンラインの服薬指導であれば、待ち時間が必要なくなります。さらに小児患者のお母様も薬局で待つのは大変です。帰りの新幹線や飛行機の時間を気にされる患者様もいます」

 旗の台薬局は昭和大学病院の前にある、いわゆる「門前薬局」で、全国各地から患者が訪れる。

 意外だったのは、周囲を気にせずに相談できるメリットだ。

「店頭だと『混んでいるから早くしなければ』とか、周囲の目を気にしてしまい、じっくりと相談できないけれど、オンラインなら自宅でリラックスして話ができる、という声をかなりうかがっています」

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ
同業者間の競争は激しくなるか