骨粗鬆症による椎体骨折

 筋力の低下は転倒リスクを増大させるため、骨折予防にはウォーキングなどの適切な運動習慣が大切だ。90代でもトレーニング次第で筋力の改善は可能だという。同時に、カルシウムやその吸収を助けるビタミンD、タンパク質といった栄養素の摂取もまた、骨の構成要素として大切になる。

「高齢者ほど肉や魚などでタンパク質を積極的にとりましょう」(同)

 骨粗鬆症の診断は、骨粗鬆症による脆弱性骨折がなければ骨密度が若年成人平均の70%以下が基準とされる。椎体などの脆弱性骨折があれば、若年成人平均の80%未満でも診断される。骨密度はからだの部位によって異なるため、測定部位や機器によっても数値は異なってくる。骨粗鬆症診断は原則、骨折しやすい腰椎と大腿骨頸部を測定するDXA法(デキサ法)によっておこなわれる。

 骨密度検査は人間ドックのオプションのほか、女性向けに40歳から5年ごとに検査を実施する自治体も増えている。

「とくに女性は60代後半~70代に腰や背中の痛みを感じたら、受診して骨密度も測定しておきましょう」(酒井医師)

(文・石川美香子)

※週刊朝日2022年10月28日号より

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