石井氏はさらに、

「好意的に見ても、これが布教という、いわば宗教活動といえますか? 私はこれは宗教活動ではなくて商売だと思うのです。正体を隠したまま、指輪を買いなさいとか、数珠を買いなさいとか、つぼを買いなさいとか、そういうようなことをやって買わせる。商売用のマニュアルもある」

 と霊感商法の実態に迫った。

「宗教との問題、販売活動という問題、それから連鎖商法という問題がある」

 と統一教会の霊感商法が、宗教に名を借りたカネもうけだと厳しく指摘した。

 そして、

「刑法上でも詐欺罪、脅迫罪の刑事的責任が問われることもある」

 との政府側の答弁を引き出したのだ。

 この質問をサポートしたのが、紀藤弁護士だった。

「弁護士になってまだ5年くらいの時でした。石井氏から電話をいただき、霊感商法について聞きたいという。私が、議員会館に行きますよ、と伝えると『そちらにうかがいますから』と。こんな腰の軽い国会議員がいるんだという印象でした。石井氏は、霊感商法に関する分厚い資料を、私の事務所でずっと読み込んでいました。その姿を思い出します」

 石井氏の統一教会への追及を近くで見ていた人がもう一人いる。

 石井氏の元秘書で、現在は兵庫県明石市長の泉房穂氏だ。泉氏は、石井氏の著書を読み、手紙を書いたことがきっかけで秘書になった。その後は石井氏の自宅近くに引っ越して、仕えたという。

「石井先生は、自分ひとりでも巨悪に立ち向かう、という方でした。統一教会の霊感商法でも、これでもか、とばかりに調査して、国会質問となると、相手からどう答弁を引き出すか徹底的に研究しておられました。石井先生が、志半ばでこの世を去るようなことがなく統一教会を追及していれば、自民党も怖くなってここまでズブズブの関係になることはなかったように思います。残念でなりません」

 泉氏がそう振り返る。

泉房穂・明石市長
泉房穂・明石市長

 石井氏は、自身の選挙区に、オウム真理教の施設が建設されようとしている情報をつかんだ。泉氏がその時の様子をこう話していた。

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「石井紘基資料データベース化企画」がスタートする