中国は11月3日、独自の宇宙ステーション「天宮(てんきゅう)」の完成を発表した 10月31日に打ち上げられた宇宙実験棟「夢天」が1日、天宮に接続、位置の切り替え作業を経て、T字型の基本構造ができあがった。
【図版】サッカーコートと同じくらいの大きさの国際宇宙ステーション(ISS)
国際宇宙ステーション(ISS)に参加していない中国は、2011年の「天宮1号」の打ち上げ成功以降、わずか10年の間に3つの宇宙ステーションを打ち上げ、独自の宇宙開発を急速に進めてきた。一方で、ISSは老朽化が進んでおり、2031年には太平洋に落とされる予定だ。中国は宇宙でも「強国」となっていくのか。『夢の仕事場 動画と図解でよくわかる 宇宙飛行士』から、知られざる宇宙ステーションの歴史を振り返りたい。
世界で最初の宇宙ステーションは、ソビエトが1971年に打ち上げた「サリュート1」。全長13.7メートル、最大直径4.2メートルの円筒形で、定員は3名。プロトンK・ロケットの4段目として搭載され、地球を周回する低軌道に投入された、モジュール(宇宙ステーションを構成するそれぞれの部屋)がひとつだけの宇宙ステーションだ。
打ち上げのときは無人だったが、その後、打ち上げられた宇宙船ソユーズ11号がサリュート1にドッキングし、クルーが3週間滞在した。しかし、ソユーズ11号は地球への帰還中に空気漏れの事故をおこし、クルー全員が死亡している。サリュートは7号まで打ち上げられたが、そのうち3機は「アルマース」という別名を持つ軍事用ステーションで、機関砲までを装備していた。1982年に打ち上げられたサリュート7号は、さまざまなトラブルに見舞われたが、その様子は映画「サリュート7」に詳しく描かれている。
アメリカ初の宇宙ステーションは、1973年に打ち上げられた「スカイラブ」。アポロ計画が17号で中止されたため、準備されていたサターンVロケットの第3段を、単体モジュール型の宇宙ステーションに改造たものだ。1986年にはソビエトが、より大型のステーション「ミール」の建設を開始した。5つのモジュールをひとつずつ打ち上げて結合させ、完成した時には全長27.5メートル、重さ124.3トンを超えたという。