「駅のエレベーターも乗れないことが多くて、何本か待って、人が少ないタイミングを見計らって、ということがよくあります」
陽葵さんはスムーズには歩けないものの、障害者用の駐車スペースに車を止めたあと、少しの距離であれば歩くことはできる。すると「なぜそこに止めるのか」と注意されてしまうことも。
「もしかして、何か理由があるのかなと思っていただけたら」と今井さん。障害がある子どもを一生懸命育てながら、時に暴言や厳しい言葉まで浴びせられてしまうのが現実なのだ。
アンケートを取った内木さん自身も、かつては電車やバスなどあらゆる公共の場所で「すみません、すみません」と周囲におわびばかりを言い続けていたという。公園へ息子を連れて行くときは、人のいなさそうな時間を選んでいた時期もあった。
「周りの目線に対して、私たちが必要以上にびくびくしてしまっている面もあるかもしれません。ただ、『障害を知っている』ということの中で、当事者たちが直面している生きづらさにも目を向けていただけると、障害当事者を取り巻く状況が少しずつでも変わっていくのではないかと思います」
右半身にまひがあり、ヘルプマークをつけて歩いている50代男性は、「みんなスマホをいじっていてヘルプマークに目が向かないのか、ぶつかりそうになることが良くあります」と現代特有の悩みも。
3日から始まる障害者週間。障害を知っているとはどういうことか、当事者や家族の現実に思いをはせつつ、考えてみたい。(AERA dot.編集部・國府田英之)
※配信時、陽葵さんを自閉症と記しましたが、重度知的障害と肢体不自由の誤りでした。お詫びして訂正します。