だが一方で、静岡県の幼稚園で通園バスに女児が置き去りにされ熱中症で死亡したニュースでは「車内に閉じ込められて……」と涙をこぼし、「徐々に苦しんで命を奪われていく。今回の亡くなり方を想像すると……」と、声を震わせながらコメント。MCが感情を入れすぎたことには賛否あったが、谷原の人間味が感じられる場面だった。そんな純粋な人柄ゆえ、悪気なく言ったコメントが賛否を巻き起こしてしまうところもあるのだろう。
民放バラエティー制作スタッフは「谷原さんはそもそも、ニュースのプロではない」として同情する。
「以前、キャスター就任後の心境について『政治や経済、社会のことを学ばなければと教えて頂いた1年半だった』と語っていた通り、ニュースを扱うキャスターとしては、まだまだ発展途上です。その割には、物議を醸す発言はあっても、降板するほどの失言はない。もちろん、トンチンカンなコメントはありますが悪気はなく、人柄が出ている。素人目線のコメントと捉えれば、そこまで目くじらを立てるほどではありません。とはいえ、この時間帯の視聴率は『モーニングショー』の独壇場で、現場では『ラヴィット!』『スッキリ』との2位争いとなっています。『めざまし8』が2位になったこともありますが、『ラヴィット!』も追い上げているだけに、視聴率で結果を出すことはより求められるでしょう」
芸能評論家の三杉武氏は谷原章介についてこう評する。
「谷原さんは、番組ではメインMCながら、自ら積極的に意見や感想を口にする印象が強く、『視聴者が疑問に思うことを自分が積極的にすくいあげなければ』という思いが伝わってきます。これが生活情報番組だと、多少ズレがあってもいいのですが、報道色の強い番組になると不用意な発言は批判を浴びてしまいます。そのあたりは、番組スタッフがオンエア前の事前打ち合わせで当日扱うニュースの内容や注意点を細かくレクチャーするなど、周囲の細やかなケアが必要になってくるでしょう」
ニュースのプロではない谷原が、どんな言葉で視聴者の心をつかむのか。“朝の顔”として谷原の正念場は続く。(丸山ひろし)