「保険」はとても不思議な制度です。ハーバード大卒のパトリック・ハーラン(パックン)は、保険には「ほとんどメリットがない」と断言します。25年以上前に日本にやってきたパックンが驚いた制度とは? いまさら聞けない「お金の基本」から手堅くお金を増やす方法までしっかりカバーして書き上げた初のお金の本『パックン式 お金の育て方』から、一部を抜粋・再編して大公開します。
【パックン式「節約戦略」】まず見直すべき4つの固定費はこちら
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■保険は「メリットがほとんどない」特殊な商品
お金の使いみちの中でも、ちょっと特殊なのが「保険」です。
保険の仕組みは、「何か(保険事故)が起きたら、保険金をもらえる」というもの。
だから、その「何か」が起きるまではメリットがありません。
そんな商品って珍しいですよね?
コストがかかるだけで、ほとんどの場合メリットがない。保険だと言われなければ「詐欺だ!」と思うでしょう。
まあ、詐欺ではありませんが、僕ら消費者は、保険については「本当にいる?」と慎重に考える必要があります。
たとえば医療保険。
「入院したら日額1万円」とか「手術をしたら10万円」とか、そういう保険がありますね。そのほかでも「がんになったら保険料免除」とか、いろいろな条件をつけられます。
僕は、民間の医療保険については、みんなが入る必要があるとは思いません。
というのも、日本の公的医療保険はとても充実しているから。
日本では誰もが公的医療保険に入っていて、医療費の窓口負担は原則3割です。さらに高額療養費制度があるので、普通は月々の医療費が10万円程度に収まります。それに、住んでいる自治体によっては子どもの医療費が無料の可能性もあります。
計算式は省きますが、たとえば70歳未満で年収500万円の人が大病を患ったとしましょう。
ひと月で100万円の医療費がかかった場合、窓口ではまず30万円を払わないといけませんが、その後、国から高額療養費として払った分の大半が返ってくる。結局、8万7430円の負担だけで済みます。