ミャンマーの人権団体によると、22年12月5日までに国軍によって殺害された人は2500人を超えている。ラジオフリーアジアは、今年5月時点で犠牲者は5600人を超えている、と発表している。正確な人数は把握できないとしても、相当数の犠牲者が出ていることは間違いない。

 デモが弾圧されるなか、ミャンマーの人々はさまざまな抗議行動を展開してきた。バス停などにスローガンとともに花を飾るフラワーストライキ、決められた時間に一斉に5分間拍手をする拍手キャンペーン。正月などの行事に参加しないサイレントストライキ……。

 しかし、国軍による拘束は、花を手にしただけの市民まで広がった。

 そうしたなかで、いまでも行われているのがフラッシュモブ型のデモだ。通行人を装って道を歩き、ひとつの合図でさっと集まり、短時間でデモを行い、再び通行人に紛れるスタイルだ。

 11月に釈放された日本人ジャーナリストの久保田徹さん(26)は、今年の7月にデモを撮影中に拘束された。そのデモはこの形だった。

 国軍の弾圧のなか、SNSで発信される映像。それは抗議行動のデパートのように多種多彩だ。

 ヤンゴンではじめに公開されたロンジー抗議写真は、プロのカメラマンの撮影だったようだ。その後、素人撮影、そして地方での撮影とロンジー抗議の発信は全国に広がりつつある。

ロンジーを巻き直す一瞬を狙ってアピールしている

(下川裕治)

[AERA最新号はこちら]