4区で1年生・佐藤一世が区間4位と粘り、順位をひとつ上げたものの、さらなる浮上を狙った5区で山登りのスペシャリスト・竹石尚人が山中で足を吊るアクシデントに見舞われ、トップ・創価大に7分35秒差の往路12位でゴール。往路二桁順位は10年ぶりの屈辱だった。

「1年間、神林がチームを引っ張った。その精神的、能力的な支えがなくなったときに、挽回するだけの精神力がなかった」と分析した原晋監督は「ゲーム・オーバーという形になりましたね」と復路を残しながら早過ぎる敗北を宣言した。

 だが、「プライドは忘れずに攻めのレースをする」と雪辱を誓った復路では、9区・飯田貴之が区間2位を記録したのをはじめ、5人全員が4位以内の好走。復路優勝をかち取るとともに、総合4位まで挽回した。

「次につながる負けだった」と指揮官が評したとおり、翌22年、青学大は往路、復路、総合の完全Vを達成し、6度目の王座に就いた。

 流れを掴めるかどうかが、明暗を大きく分ける駅伝。今年もどんな激闘が演じられるか、最後の最後まで目が離せそうにない。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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