他の特権と呼ばれているものを見ていこう。議員は毎月100万円、年間1200万円を「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)を受け取ることができる。調査研究や広報などに使うために国から支給される資金だが、領収書を提出することなく使うことができる。しかも非課税で、使い切らなくても返還の義務はない。議員の「第2の給与」と呼ばれている。先ほどの給与とあわせれば、3千万円を優に超える計算だ。

 尾藤さんの調べによると、この金額は世界でも高い水準だという。19年時点では、アメリカが1914万円、ドイツが1466万円、イギリスが1126万円、フランスが1085万円だった。

 また、法律をつくるための調査研究費として会派(議員グループ)に対して「立法事務費」が月に65万円、年間780万円も支払われる。会派と認められるために二人以上の議員が必要だが、立法事務費に関しては所属議員が一人でも支払いが認められる。こちらも非課税で、領収書も必要ない。「第3の給与」とも呼ばれている。

 さらにはJRが無料で乗れる「JR特殊乗車券」や、最大で月4回まで選挙区と東京を往復できる「国内定期航空券」を利用することができる。ほかにも相場と比べて格安で入居できる議員宿舎、秘書3人の給与を支払う「秘書手当」もある。また、国会議員の数や得票数に応じて政党に支払われる「政党交付金」を受け取れる議員もいる。

 いったい特権の金額はどのくらいになるのか。「令和4年度国会所管一般会計歳出予算各目明細書」で、しばしば特権と指摘される「歳費」、「文書通信交通滞在費」、JRや航空券の費用である「特殊乗車券等購入費」、「立法事務費」の4項目の金額を調べてみた。

 衆議員では、歳費が95億円、文書通信交通滞在費で55億円、特殊乗車券等購入費で9億円、立法事務費で36億円もあった。同様に参議員では、歳費で50億円、文書通信交通滞在費で30億円、特殊乗車券等購入費で4・7億円、立法事務費で19億円だった。合計で301億円の計算だ。

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特権は単純に削減すればいいのか?