薬は水で飲むのが基本。わかってはいるけれど、ついつい手近なところにあるお茶で飲んでしまうことや、外出先で飲みたいときに水がない、などということもあるかもしれません。「お茶で薬を飲んではいけない」という話を聞くけれど、それは本当なのか、また薬と飲み物の飲み合わせで気をつけるべきことについて、日々多くの患者への服薬指導をおこなう薬剤師の小黒佳代子氏に解説してもらいました。
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お茶で薬を飲んではいけない理由として、よく耳にするのは、お茶に含まれる「タンニン」が貧血の治療薬である鉄剤の効果を弱めてしまうということでしょう。
口から体内に入った薬は、胃で溶けて小腸で吸収され、からだのさまざまな部分に広がって効果を発揮した後、分解されて体外に排出されます。その小腸での「吸収」の段階で、鉄がタンニンと結合してしまうことで、吸収されにくくなってしまうのです。
このような理由で、昔から「お茶で薬を飲んではいけない」といわれてきましたが、現在では、家庭でふつうにいれたお茶や、市販されているペットボトルのお茶などで飲む分には必要な量の鉄分は吸収されるとされ、心配いらないことがわかっています。
また、一部の喘息治療薬や市販の風邪薬は、お茶と一緒に飲むと、カフェインの作用が強く出てしまうことがあります。カフェインには頭をすっきりさせてやる気を出したり、からだをシャキッと元気にしたりする作用もあり、市販の風邪薬にはカフェインが含まれているものも多くあります。
薬に含まれるカフェインと、お茶に含まれるカフェインを同時にとることで過剰摂取となり、動悸、心拍数の増加、興奮、不眠、吐き気、胃腸障害などの症状がみられることがあります。また、カフェインの興奮作用により、睡眠導入剤や安定剤の効果が弱まることもあります。
カフェイン=コーヒーというイメージがありますが、緑茶や紅茶、ウーロン茶などにも含まれています。緑茶のなかでも、煎茶に含まれるカフェインの量はコーヒーの半分以下ですが、玉露にはコーヒーの2倍以上が含まれます。また、エナジードリンクなどにもカフェインは含まれています。