黒川伊保子さん 撮影/高橋奈緒(写真映像部)
黒川伊保子さん 撮影/高橋奈緒(写真映像部)
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 不機嫌な妻に困っている夫のための『妻のトリセツ』や、使えない夫にイラついている妻のための『夫のトリセツ』などの著書が人気の脳科学者・黒川伊保子さんが新刊『夫婦のトリセツ 決定版』を出版した。「夫婦は必ずすれ違い、腹が立つようにできている」、「100%満足な夫婦の会話はあり得ない」と断言する黒川さんに、その理由と、少しでも快適なパートナーシップを築くために試してほしい超簡単な3つの方法を聞いた。

【表】黒川伊保子さん提案「既婚ボッチを抜け出す3つの方法」

くろかわ・いほこ/脳科学・人工知能研究者、感性リサーチ代表。1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業後、コンピューターメーカーにてAI開発に従事。男女の脳のとっさの使い方の違いに注目し、研究結果をもとにした『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(ともに講談社)が話題に

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「妻が怖い」

「既婚男性には人権がないのでしょうか」

 そう訴える男性が増えていると黒川さんは言う。巷にあふれる「妻の機嫌を取れ」という本の通りにしても、夫にはその行為自体がストレスとなり、夫婦は互いに満たされず孤立し“既婚ボッチ”へと化していく。

「これまでのトリセツシリーズは『本当に厄介よね』『捨ててやりたいよね』というトーンで書いたので、『夫婦のトリセツ』は夫婦の共通言語として仲良く読める本にしたかったんです。男女の脳は大きさのバランスは違えど、同じ機能を持つ同じ臓器です。ただ、とっさに使う脳の回路が男女で違うことが多く、言ってほしい言葉と言いたい言葉が正反対。それが夫婦生活でどんなすれ違いを引き起こすのか、特に子どもを産んだときにどんな溝ができてしまうのかを知ってほしかった」

 黒川さんによると、何か問題が起きたとき、脳内では主に2タイプの回路が起動されるという。ことのいきさつを振り返り根本原因を探る「ことのいきさつ派」と、今できることに集中してスピード重視で動き出す「今できること派」だ。意識的には男女ともにどちらも起動できるのだが、反射的には女性が前者、男性が後者を選ぶことが多いのだそう。

 例えば、子どもの具合が悪いとき、多くの女性は「そういえば夕べ…」のように関連記憶をたぐって根本原因に迫ろうとする。一方で、男性は「体温計は?」と探し始める。妻にしてみれば、体温は二次的情報なのに(触れば高熱なんかないのもわかるし)、体温計で大騒ぎする夫にイラッとすることになる。

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「夫婦は必ず腹が立つ組み合わせ」