昨年8月、桜木さんは住み慣れた東京都小平市のアパートを引き払い、岐阜県の飛騨高山にある実家に引っ越した。地元の友人が会社経営をしており、その会社で働かないかと誘ってくれたという。
今冬、桜木さんの故郷では雪が30~40センチ積もった。
「こっちは東京と比べてびっくりするくらい人が少ないですね。でも東京が恋しいとは全然思わない。友人の会社で一生働くつもりです。戦場では友達になった人たちが次々に撃たれて殺されました。自分もいつ死んでいてもおかしくない状況でした。紙一重のところで救われた自分の命を大切に、あとはのんびり過ごしたいですね」
20年間命をかけてきた「戦場」を離れ、これからは、ささやかな「日常」を大切にして生きていく。
(AERA dot.編集部・上田耕司)