闇バイト関連の報道で大事なのはそこなんじゃないかなと思っている。テレビ番組での報じ方は、特殊詐欺に遭わないためにとか、強盗に入られないような家の工夫とかじゃないですか。それはそれで大切なことではあるけれども。今回のルフィの件は、若い世代もバイト感覚で手を染めてしまっているわけだから、それだけの話で済むことではない。
東京都狛江市の事件では19歳の大学生も逮捕されましたけれども、これからの人生のほうが長いのに、この先、本当に歩みたかった人生を歩めるかどうかわからない。そういうことも、きちんと見せていかなければいけないと思うんですよね。もちろん、人間には何か罪を犯してしまったとしてもセカンドチャンスはなくてはいけないから、刑期を終えて、なんとか幸せに暮らしている人もいるとは思うけど。
だから、新たな犯罪者を生まないための報道があってもいいのではないかと思うんです。「犯罪は起きます、だから防御をしましょう」みたいな扱い方が多くて、闇バイトに手を染めるような特に若い世代には何も響かない。
もちろん、ほとんどの人は、闇バイトをやらない。なのにこれだけ逮捕者が出てくるということは、その人たちはやはり何かしら欠落している。闇バイトに手を染めた逮捕者たちだって、小学校、中学校で同じ教育は受けているけどやってしまうわけでしょ。だからこそ、闇バイト経由で強盗なんてしたら、こんなに罪が重いんだ、こんな人生を歩まざるを得ないんだということをもっともっと発信していったほうがいいと思うんです。
強盗致死となったら、罪は一生ですよ! 無期懲役か、もしくは死刑もあるわけです。最近たまたま見た番組で無期懲役の高齢者を取り上げていました。「無期懲役食らったって、どうせ20~30年で出てこられるでしょ」とか話す人もいますが、無期懲役ってほぼ終身刑なんですよね。一生涯刑務所から出られる人なんていないわけですよ。
その無期懲役の高齢者のインタビューでは「罪を後悔しています」とか話していた。反省を述べられたところで「亡くなった人の気持ち考えろよ!」「罪を償ってよ!」しか言えない。同情の余地は全くない。そのインタビューを見たときに、そんな憤りと共に、「無期懲役って、こういう風になるんだ」と見せつけられた。改めて、罪を犯した人の現実をきちんと取り上げるべきではないかと思った。