1メートルを超える巨大なクエ
1メートルを超える巨大なクエ
クエの握りずしは脂の乗りが最高
クエの握りずしは脂の乗りが最高
数量限定クエのあら汁も
数量限定クエのあら汁も

 皆さんは「幻の超高級魚」と聞いてどんな魚を思い浮かべますか? 時期的にピンとこられた方も多いと思います。そうです、今回はクエについてのお話です。

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 クエは漢字で「九絵」とも書きます。成魚の体の模様が複雑で、非常に分かりにくいことに由来しているとも言われています。まさに当て字ですね。

 主に西日本の50~100メートル程度の砂が混じる岩礁帯に生息しており、昼間は棲み家である岩場からあまり動くことなく、夜になると近所を泳ぎまわって、イカや伊勢海老などを丸のみして食べている、なかなかの美食家なんです。

 旬の時期には天然の大型のものは、1キロあたり1万円以上にもなり、スーパーなどではまずお目にかかれない、まさに幻の高級魚と呼ぶにふさわしい魚です。

 余談ですが、クエとよく間違えられる魚に「アラ」という魚がいます。九州地方ではクエのことをアラと呼ぶので非常に紛らわしいんですが、正確にはアラとクエは別の魚なんです。外見も生態もよく似ていますが、アラの方が少しスマートな感じでしょうか。アラもクエと同じく非常に貴重で高価な魚です。

 では、クエはなぜこんなに高価なんでしょうか?

 最大の理由は、成長に時間がかかるため、大型の成魚の絶対数が少ないということ。孵化して1年で15センチ程度までしか大きくならず、さらになんとか食べられる大きさの50センチ程度になるのに、5年以上かかると言われています。そして大型と呼ばれる70センチ級になるには、10年が必要なんです。

 その分寿命は長く、1メートルを超える超大型になると、天敵もいなくなり、30年から40年も生きていると言われています。まさに岩場の主といった風格です。

 食べられる大きさになるまで5年もかかるとなると、養殖で採算をとることも難しく、なかなか養殖にも取り組まれていませんでした。

 最近は、比較的早く成長する同じハタの仲間と交配することによる養殖物も出回るようになってきましたが、それでも他の魚に比べるとかなり高価です。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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クエ漁師に同行した筆者に衝撃が