犠牲者に贈る言葉がホテルの壁一面に貼られていた
犠牲者に贈る言葉がホテルの壁一面に貼られていた
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 世界的に新型コロナウイルスの影響もかなり落ち着き、以前のように海外に足を延ばせるようになった。そこでアジア各国を中心に、注目を集めた事件や事故などの現場を改めて見る旅に出た。そこにたどり着くまでの道のりやその街から伝わってくる息づかいをお伝えする。

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 隣国でありながら、入国規制でなかなか行くことができなかった韓国に、3年ぶりに向かうことになった。


 さて、渡航するにあたり、出発前の手続きが二つ加わった。


 一つは電子渡航認証システム(K-ETA)。コロナ禍前はビザなし渡航が可能だったが、感染が広まるなかでビザが必要になった。そして昨年11月、ビザは免除になったが事前にこのシステムで申請し、承認を受けなければならなくなった。申請期間は出発の72時間前まで。一度申請すれば、その後2年間は有効だ(パスポートを更新した場合は再度申請が必要)。


 申請に必要なのは、パスポートや、メールアドレス、現地での滞在先といった基本情報だ。申請が完了してから24時間以内に審査結果が表示される。手数料は約1万ウォン。日本円にして千円ちょっと。


 もう一つの手続きは、新型コロナ対策のための検疫情報事前入力システム(Q-CODE)。こちらにもK-ETAと同じように、飛行機に乗る前にスマートフォン(スマホ)に個人情報を入力しなければならない。


 入力しながら、「旅は煩雑になったなぁ」と愚痴めいたつぶやきが出てしまった。


 出発前の申請をなんとか済ませ空港へ。羽田空港を午前2時近くに出発するLCCのピーチ・アビエーションの機内は、多くの日本人が席を埋めていた。1時間以上遅れて飛び立った航空機は、約2時間40分でソウルの仁川国際空港に到着した。空港では、Q-CODEのQRコードを提示しなくてはならなかった。


韓国入国に必要なQ-code
韓国入国に必要なQ-code

 3年ぶりのせいか、以前は何事もなく始まっていた韓国の旅がなかなか進まない。


 スマホにはシムカードを挿れたほうがいい? それともルーター? どっちが得だったっけ。そういえばシムカードを挿れるとき、僕のクレジットカードは登録されていたはず。それはどこの通信会社? 思い出せない……。

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下川裕治

下川裕治

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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