速く大きく変化する社会に育ち、勢いづく中国SFの作家たちは、世界に目を向けている。

「陳楸帆や夏笳(シアジア)は欧州のコンベンションにも精力的に参加して、直接、自分の作品と中国SFの魅力を伝えています。彼らと語り合う話はいつも人類の来し方行く末。隣国にそんな友人が生まれたことがたまらなく嬉しい」(藤井さん)

 中国で生まれた壮大なSF『三体』。そこには中国の現代史とイマジネーション豊かなSFの潮流が流れ込んでいる。同時代を生きる日本の読者にとって、社会的な背景も含めて、刺激的な物語だ。今年初夏に続編の『黒暗森林(こくあんしんりん)』の邦訳が刊行され、来年には3部作の日本語版がそろう予定だ。(ライター・矢内裕子)

AERA 2020年2月24日号より抜粋