アナウンサーの笠井信輔さんががんを告白し、入院した。それを支える家族はいまどんな思いだろうか。AERA2020年2月10日号では、最も近くで見守る妻の茅原ますみさんに独占インタビュー。メディアに初めて、思いを語った。
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――笠井信輔さん(56)といえば“朝の顔”。フジテレビの情報番組「とくダネ!」への出演は20年に及んだ。フリーアナウンサーへ転身した矢先、昨年12月にがんが発覚した。
夫はフリーになりたての頃から腰痛を抱えていたんです。病院で骨盤に「影らしきもの」が見つかり、それががんだとわかった時、夫は帰宅して、「ごめんね。病気になっちゃった」と言って、悲しい顔をしたんです。私は、「いやいや大丈夫。ちゃんと向き合わなきゃね」ってサラッと言いました。そうじゃないと、彼が泣きそうな感じで。その時は会社を辞めたばっかりで、彼の中で、家族に対して申し訳ない気持ちとか、新しい仕事が順調だから中断するのは悔しいとか、いろんな感情が渦巻いていたんだと思いますね。
――笠井さんは12月19日にテレビの生放送で病気のことや公表に至った経緯を伝えると、その日から都内の病院に入院した。自身のブログでは、病気が悪性リンパ腫の一つ「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」であり、「予後の悪いタイプ」で、「通常より一段階強い抗がん剤治療を行う」ことも告白した。
病気の公表は、彼の意思でした。「何より自分は、これまで有名な方の闘病も含めて報道する側にいて、いざ自分が病気になったときに、『そっとしておいてください』という態度を取るのはフェアじゃない」という考えだと。だから、私は「尊重するよ」って伝えました。実は、私のこのインタビューも最初は受けようか迷ったんです。でも彼に相談したら「ぜひ受けて」と言われたんです。
――笠井さんの入院生活は、抗がん剤治療を受けるため、4カ月に及ぶという。
彼は「入院を終えて自宅で療養したら、いつ仕事に復帰できますか?」とお医者様にしつこいぐらい聞いていました。正直私は、「まずは命の方が大事でしょ」と思ってしまいました。お医者様は「2カ月療養して、それからですね」と目安はおっしゃってくださって、彼もそこへ向けて頑張っているところです。彼にとって復帰が切実な問題だというのは痛いぐらいわかりますが、数字に引っ張られるとプレッシャーにもなりかねません。私はただ励ますだけじゃなく、彼が空回りしないようにウォッチしてあげなきゃと。