やさしい日本語が注目されている。NHK広報局によると、2019年10月9日、台風情報を「やさしい日本語」で伝えたツイッター投稿は、リツイートが2万5千件、いいねは2万8千件を超えたという。AERA 2020年2月3日号では、広がるやさしい日本語を必要とする人たちを紹介する。
【「避難」「めちゃめちゃです」を言い換えたら…?やさしい日本語へ訳した例はこちら】
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「やさしい日本語」は1995年、阪神・淡路大震災の際に、「緊急時の情報対応は、英語や中国語などの主要外国語だけでは不十分」と認識されたことで、生まれたといわれる。明確な定義はないが情報の正しい伝達を第一義にしており、難しい単語を使わない、文章を短くする、肯定と否定をはっきりさせ、言い回しもシンプルにする、といった特徴がある。
近年、在留外国人数も訪日外国人数も過去最多が続いている。在留外国人数の上位10カ国・地域のうち、主要言語が英語なのはフィリピンと米国だけ。英語を解さない人は少なくない。多言語翻訳には限界があるが、在留外国人や訪日外国人のなかには、簡単な日本語なら理解できる人も多い。各自治体や企業、マスコミでは「やさしい日本語」への取り組みが進んでいる。
台風19号が日本に接近していた19年10月9日、「NHKニュース」の公式ツイッターが、「【がいこくじん の みなさんへ】」と前置きしてこんなツイートを投稿した。
「たいふう19ごう が 12にち~13にち に にしにほん~きたにほんの ちかくに きそうです。たいふう19ごう は おおきくて とても つよいです。 き を つけて ください」
このツイートに対して、「英語で書くべき」「読みづらい」などのリツイートもあった。だが、都内のマッサージ店に勤めるタイ人女性(34)は同僚からこの投稿を見せてもらい、台風に備えることができたという。
「いつもは日本語をあまり読みたくありません。台風、怖いから読みました。意味は分かりました。店の人と一緒に買い物して、準備をしました」