竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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センター試験では、英語のリスニング用のICプレーヤーが配られました。続く試験でもベストを尽くせるよう祈っています/1月18日、東京大学で(c)朝日新聞社
センター試験では、英語のリスニング用のICプレーヤーが配られました。続く試験でもベストを尽くせるよう祈っています/1月18日、東京大学で(c)朝日新聞社

「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】センター試験の会場では

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 大学入試センター試験が終わり、受験生の方は2次試験などに向けて、ラストスパートをかけていることと思います。私が受験したのは大学共通1次試験で、センターへの転換がすでに決まっていた頃でした。約30年経ち、入試改革の議論が再び巻き起こっています。

 2020年度から予定されている大学入学共通テストでは、英語民間試験の活用や国語や数学の記述式問題の導入延期が土壇場で決まり、受験生や教育現場には混乱が生じたことと思います。

 私たちコンビニの世界でも、本部が良かれと思っても、お客さまや店舗のオーナーのみなさんの感覚とすれ違ってしまうことがあります。例えば、淹れたてコーヒーを導入した当時は店舗でお淹れして、心をこめて手渡ししていました。ただ、朝の忙しい時間にはレジも混雑し、お待たせすることにもなる。場所によっては、セルフ式の方がお店にとっても、お客さまにとっても効率的でした。様々な商品やサービスの導入時や、変更の際には、お客さまの目線で考え、店舗とともに取り組んでいくことが大事です。

 コンビニと同様に、大学入試改革も、さまざまな意見を採り入れて進めていく必要があるはずです。加えて、グローバルな視点も考慮し、必要とされている人材と若い人たちがどういう人になりたいと思っているのかの両面を見ることも重要だと思います。

 何より、受験生にとっては人生を左右する節目の一つ。議論を尽くして、当事者である受験生たちが納得できるよう改革を進めていくことも欠かせません。

 学びは本来楽しいこと。自戒も込めて、テクニックに頼りすぎる受験勉強になってほしくないという思いもあります。受験が一段落したら、深く学びたくなるものを見つけて頂きたい。受験生のみなさん、あともうひと頑張りです。

AERA 2020年2月3日号