焼失した首里城の復元に向けて、政府は2019年度内をめどに工程表の策定を目指すことを決めた。一方で、首里城の所有権移転に関する議論においては地元・沖縄の人々に複雑な感情もあるという。
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「政府として、復元に向けて責任を持って取り組む」
正殿などが焼失した首里城(那覇市)の復元に向けた11日の関係閣僚会議。菅義偉官房長官はこう述べ、年度内をめどに工程表の策定を目指すことを決めた。
直後には、沖縄県の玉城デニー知事が歓迎を前面に押し出すコメントを出した。
「首里城復元に向けて、大変力強く、大きな一歩が踏み出せたと考えている」
玉城知事は焼失直後に上京し、政府に早期再建を要請した経緯もあり、復元の方向性に関して国と県の間でスタンスが一致していることがうかがえる。
同会議では年度内の工程表策定のほか、防火対策を強化することや、有識者を交えた会議の初会合を年内にも開き、建築材料の確保を検討することなどを含む基本方針がまとまった。議長を務める菅官房長官は、観光振興や復元過程の公開といった地元の要望に対応した施策を進めるよう指示。「沖縄県民の意見を十分反映できるよう、沖縄県の参画を得ながら検討する」とも述べた。
一見何の問題もないようにも見えるが、沖縄では、シンボルである首里城の再建が国主導で進むことへの違和感や不満、警戒感もくすぶる。
12月4日の沖縄県議会では首里城の所有権を国から県へ移転することについて、県のスタンスを確認する質問が出た。
島袋芳敬政策調整監は「(国と)所有権移転の協議は考えていない」と明確に否定。全焼した正殿などは城郭内にあったことを踏まえ、「城郭内は国営公園、城郭外は県営公園として整備してきた。城郭内にある正殿等は一義的には国が復元すると考えている」との見解を示した。
「県民感情に寄り添えば、国から県への所有権移転に関する議論は不可欠です。とはいえ、速やかに復元したいと考えるのであれば、所有権の議論はわきにおいて県は国と連携する形で再建に取り組むという判断もいちがいに否定できません」
沖縄大学の島田尚徳講師(公共政策論)は県の姿勢に一定の理解は示しつつ、県主体の復元計画策定を追求してもよかったのではないか、と指摘する。