
SNSを通じ、瞬く間に名を馳せた10代の若者たちがいる。有名になるきっかけは様々だが、インフルエンサーでありながら、着実に自分の道を歩む姿は真摯そのものだ。AERA 2019年12月23日号から。
【画像】「足りないのは感謝とガッツ」 意外とアツい16歳、YOSHIとは一体何者か?
* * *
国内外からオファーが殺到する10代のトラックメーカーがいる。SASUKEだ。16歳にしてこれまで2回の転機がある。
はじめは、2年前の5月。原宿でフィンガードラム(電子機器で指でドラムの音色を演奏する)の路上パフォーマンスを披露する姿を、道行く人たちが動画に収めて投稿した。
「すごいやつがいる」
ツイートは瞬く間に拡散され、SASUKEの存在が日本中に知れ渡った。
愛媛県に生まれ、5歳で父親のMacBookのGarageBandで作曲を始めた。いつか音楽で身を立てたいと考えてはいたが、具体的な道筋は描いていなかった。
「とりあえずいい曲を作っていればと思っていました」
話題になってすぐ事務所に声をかけられて所属し、18年12月にはデジタルシングル「インフルエンザー」でデビューした。
「いきなりメジャーで驚きました。最初はいろんな人が聴いて気に入る曲を作ろうと思っていたけれど、今はそんなに難しく考えなくてもいいかなと思っています」
もう一つの転機は、「新しい地図」への楽曲提供だ。
「どうして自分にオファーがあったのか、いまだに謎なんです。事務所に入ってすぐに電話がかかってきて、3人(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)の曲を作ってみないか、と」
自分の曲を作るときとは、違う難しさもあった。依頼者が持つイメージとSASUKEが持つイメージとの間に生まれる差を、「いい感じ」に合わせていく。パシッとハマると気持ちいい。
「これまでの楽曲を聴いて、調べて、できるだけ寄り添うように、新しい地図の本人たちのSNSだけでなく、ファンの方のツイートもチェックしました」
こうして生まれたのが、18年12月、新しい地図joinミュージック名義でリリースされた「#SINGING」だ。
反響はこれまでよりもさらに大きかった。