給与所得控除の金額は年収によって異なる。今は最低65万円、最高220万円だ。

「左から3番目、『所得控除の額の合計額』は給与から天引きされる健康保険料や年金保険料、各種控除の合計です」(同)

 そして一番右の源泉徴収税額が、支払った所得税となる。「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額が「課税所得」だが、課税所得に所定の税率をかけて税額控除をすると源泉徴収税額が出る。

「年収が高いほど所得税も上がります。ちなみに住民税計算上の課税所得の約10%が、住民税として翌年の給与から差し引かれます」(同)

 今年、2018年分の所得税の確定申告をした人は2221万8千人。そのうち1037万6千人が給与所得者だ。

■還付金額6393億円

 給与所得者の確定申告の中で税金が戻る「還付申告」だったのは734万1千人、還付された税金は総額6393億円にのぼる(国税庁「平成30年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」から)。

 インターネットで申告用紙を作成できるようになり、確定申告のハードルはぐんと下がった。「申告」「国税」と難しく考えず、こう考えてみればいい。

「国税庁のご担当者さま! 昨年の私の収入と税金は、年末にいったん源泉徴収票の形でおさまっていますが、実は“これこれこういうお金”が別でかかっていました。つきましては、正しい税金を確定させるために申告いたしますので、取られすぎていた所得税を返してください」

 では、“これこれこういうお金”とは何か。医療費控除やふるさと納税、投資、住宅ローン、災害による損失など暮らしにかかわる項目が多数ある。

 申告者が多いのは医療費控除だ。風邪をひいて通院したときの診療費や薬代などの領収書をとっておき、年間の合計金額を確定申告書に記入する。17年分の申告から領収書やレシートの提出は不要になった。しかも申告から5年間、自宅で保管したら捨てていい。

 医療費は年間10万円超が還付の目安といわれるが、「10万円以上も医療費を使っていないし……」とあきらめてはいけない。

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