AERA 2019年12月16日号より
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AERA 2019年12月16日号より

 医療費を使った、資格取得でお金がかかった──そんな会社員は年末調整後の確定申告で還付金を受けられる。正月休みに準備すれば、振り込みまでスムーズだ。AERA 2019年12月16日号では、「届け出でもらえるお金」を特集。

【図で見る】ふるさと納税、株で大損…こんな会社員は確定申告すると所得税が戻ってくる

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 考えるだけで、顔がほころんでしまう。

「今年の還付金は医療費控除分が3万円ほど。使った医療費は家族全員で30万円くらいです。国税庁からの振込先はメインバンクとは別の口座番号にしているので、お小遣いをもらった気分でうれしいです。妻には言ってません」

 そう笑みを浮かべるのは、神奈川県大和市在住の37歳男性。大手企業に正社員として勤務し、パートで働く妻と義母、子1人の4人家族だ。毎年12月の給与と共に配られる源泉徴収票を見て、税金の高さにため息をついていた。会社員の節税は無理だとあきらめていたが、医療費控除は意外に簡単と友人から聞き、5年前から申告し始めた。

 日本の会社員は5911万人(国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果」の「イ 給与所得者数」)。日本の総人口1億2625万人(総務省)の約半分だ。これら会社員のうち、自分の所得税の金額を即答できる人は何人いるだろうか。

■自分の所得税を知る

 12月に勤務先からもらえる源泉徴収票をチェックしてみよう。ファイナンシャルプランナーでUFPF代表の西原憲一さん(48)に基本から教わった。

「源泉徴収票の上半分に記載されている四つの金額を見るだけでOKです。まず一番左の『支払金額』が、いわゆる“年収”になります」

 なぜ、会社からもらった金額なのに「支払金額」なのか?

「会社が支払った金額という意味です。源泉徴収票は会社目線で作られた書類なんです。いざ自分が確定申告をするときは『収入金額』と呼び名が変わりますが、内容は同じです」

 ややこしい……。その隣、「給与所得控除後の金額」は?

「会社員にも勤務用の経費がかかるという考え方から、年収から一定の額を最初に差し引くことになっています。これが『給与所得控除』です。『給与所得控除後の金額』には、年収から給与所得控除を引いた後の金額が表示されています」(西原さん)

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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