「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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「子どもは小学校に上がるころまでに親孝行は終わっている」と以前、先輩から伺ったことがあります。そのくらい充実していて楽しい時間だ、と。
最近、男性国家公務員への育児休業取得の促進が盛り上がりをみせていますが、ニュースによると、企業によっては育休を取得しづらいそうです。育休制度だけではなく、誰もが楽しみながら子育てと仕事を両立できる環境を官民で整えていければと思います。
ローソンでは、2014年から東京・大崎にある本社と同じビルの中で「ハッピーローソン保育園」を運営しています。保育園の空きがなく仕事に復帰できない、朝晩の送り迎えの時間が取れない、といった子育ての悩みを解決したいとの声から実現しました。スーツ姿で赤ちゃんを抱っこして出勤する社員もいます。
また、北海道の加盟店オーナーの方が、18年に「みるく保育園」というローソンで働く方などを対象とした保育園を開設しました。お店には子育て中のクルーの方も多く、「昼間の数時間だけ働きたい」というケースも。ご自身の働く時間に合わせて子どもを預けられる保育園があれば安心です。
私自身にとっても、子育ては特別な時間でした。ミルクを飲んですやすや眠るところは可愛いし、朝まで眠ってくれれば「今日はいい子だったな」と思ったりしていました。読み聞かせで自分が先に寝てしまい、怒られたこともあります。もう、うとうとしていると思って安心していたら、「ページを飛ばしたよ」と言われたり……。
「育児」ととらえてしまうと、どこか仕事のように感じてしまうかもしれません。ですが、子どもはあっという間に大きくなります。家族みんなで子育てに関わり、企業もそれを応援していく。我々にできることをこれからも考えていきたいと思います。
※AERA 2019年12月16日号