経営指標で見る「ライバル比較」
経営指標で見る「ライバル比較」
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 気になる人のことは何でも知りたくなる。それは大学も同じ。偏差値が近く、受験先候補として比較対象になりやすい大学について「経営力」を比較してみよう。AERA 2019年10月21日号に掲載された記事を紹介する。

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 関関同立では、資産運用力で全体3位だった立命館が一歩リード。他は東京のトップ校に先行を許しているものの、運用力強化に本腰を入れつつある。

 中でも、積極投資への準備を進めようとしているのが関西学院だ。

 大寺将史財務部長(49)は「リーマン・ショック後、資金運用規定を見直して安全性を高めたが、教育研究への積極的な投資と財務基盤の確立のため、再度の見直しを検討している」と説明。資産運用以外でも、大口の株式寄付を財源とする10億円を第3号基本金に組み入れるなど、18年度に特殊要因として30億円を基本金に組み入れ、株式の配当は奨学金に充てるという。純資産の増減率でも全体7位に食い込んだ。

 関西は、環境や社会に配慮した投資に注力する。環境保護事業向けの債券(グリーンボンド)や、環境や社会に配慮する企業への「ESG投資」に力を入れ、「投資リターンの向上のみならず、社会的リターンの向上」も目指しているという。同志社は「安全性を重視した資金運用を行っており、運用利回りは低くなっています」としながらも、現在、コンサルタント会社からの助言を受けながら、より有利な資産運用を目指しているという。

 対照的に、日東駒専の4大学や、東西の6女子大(同志社女子は同志社の指標を掲載)は比較的、安定志向が目立つ。

 神戸女学院は「リスク資産の運用をせざるを得ないような状況に追い込まれていない」、専修は「資金運用は積極的に行っていない。現時点では国内の銀行預金を中心とした運用形態」と説明する。

 各指標を分析した専修大商学部の小藤康夫教授は「小規模な大学では損失が出たときの影響が大きく、リスクの高い投資は難しい傾向がある」と話す。

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