その後、ミクシィでゲーム「モンスターストライク」のプロモーションプランナーとして4年働き、今年7月にはエージェント経由でベンチャーキャピタルのグローバル・ブレインに転職。業界が変わり、自社PRと投資先のプロモーション支援という新たなチャレンジの最中だ。
松井さんが未経験の職種に就くのも、業界をがらっと変えるのも、面白そうだなと思えたり自分がチャレンジできたりする環境がそこにあるから。
「自分は周りより4年間遅れている、という焦りが常にあります。だからこそ、少しでも成長できるところに行きたい」
リセット先としてスタートアップが向いているのはなぜか。
「会社の規模が大きいと、機能別に組織が分かれ、仕事が細分化されます。スタートアップはとにかくプレーヤーが少ないがゆえに、カバーしあいながら一人が担当する範囲も広い。必然的に、新しいスキルを磨く環境になります」(転職エージェントの森本千賀子さん)
さらに、意思決定できる側に行ける確率も上がる。
「大企業だと上が詰まっていて順番を待たないといけない。スタートアップは結果さえ出せば短期間で意思決定できるポジションに上がれる可能性がぐっと高まる。上場すれば、ストックオプションでまとまった資産が手に入ることもあります」(同)
ゼロリセットする際の注意点は、「会社の成長性を見ること」。会社の成長がなければ、より大きなチャレンジは難しく、組織が広がらないのでマネジメント経験の機会もめぐってこない。森本さんが言う。
「資本力や人財力がない中でのチャレンジですから順風満帆というわけにはいきません。何のために?という大義への強い共感がないと続けられない。事業への向き合い方が問われます」
※AERA 2019年9月30日号より抜粋