2001年10月、米国はアフガニスタンに出兵、首都カブールを制圧したが、ゲリラとの戦いに苦戦した。CIAは「RQ1」に対戦車ミサイル「ヘルファイア」2発を付け、アフガニスタン、パキスタン西部などでタリバン、アルカイダ幹部の車や家を狙う暗殺を行った。だが情報ミスによる誤爆が多く、民衆の反米感情を高めてタリバンを利する結果となり、すでに18年間米軍と戦ったタリバンは勢力を拡大中だ。

 偵察用の「RQ1」の武装型だった「MQ1」も退役し、対地ミサイル6発搭載の「MQ9」(リーパー)に代わった。偵察型は翼幅40メートルもある「RQ4」(グローバルホーク)に発展、30時間の飛行が可能となった。日本もこれを3機と管制システムなどを計474億円で購入することで米国と合意したが、のち米国は630億円に値上げし、20年間の総経費は3200億円以上になる。

 米軍は重さ170キロの偵察用「RQ7」など小型のものを含め、約940機を保有する。用途も拡大し、米空母は艦載機への空中給油用に大型の「MQ25」を搭載する計画だ。

 無人機には簡単で安価な物もあるから多くの国で作られ、レバノンのシーア派部隊「ヒズボラ」はイラン製ドローンを使っている。小型のドローンでもGPSを使い、片道飛行なら数百キロの飛行が可能だ。低空飛行する小さい物体はレーダーで探知しにくく、対空ミサイルや戦闘機で撃墜は困難、夜間なら機関銃も役に立たない。搭載する爆弾は小さいが、弾薬庫や石油タンクなどに命中すれば被害は大きく、ゲリラと戦う正規軍には悩みのタネだ。

 一方、大国側は無人機を撃墜されても人的損害はないから、他国の領空や境界付近で偵察を行い、撃墜されれば開戦の口実にすることも起こりうる。厄介な武器である軍用ドローン開発を先導したイスラエルと米国は、パンドラの箱を開けた形だ。(軍事ジャーナリスト・田岡俊次)

AERA 2019年9月30日号

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