「『このパターンでやればいいでしょ』となった瞬間に、ファンの人にはバレる。『やりたい』と言ったことがいつも本当にやりたいことで、しかもおもしろいということが、ぼくらの信用になるんです」(カンタ)
常に考えている自分に、最近になって気づいた。
「『どうしてそんなこと考えつくの?』ってよく言われるけど、YouTubeをはじめてから、そういう脳になったのかな。YouTubeを続けたいなら、まわりの人より考えないといけない。道を歩いていても、『いま電柱が倒れてスイカが割れたら、おもしろいな』って思う」(同)
気づけば、いつの間にか目的地についている。
「思いつくとうれしいし、ずっと考えていることは苦じゃない」し、「この仕事に向いている」と思う。
「だけど、社会不適合者かな? 床屋でシャンプーしてもらっているときに、『おもしろいこと思いついたのに忘れちゃう!』と暴れそうになって、『スマホ触ってもいいですか?』と言ったこともある。映画館で映画を観ていても、30分で出るときもある」
ちゃんと生きていかないといけないから、「そういう自分は嫌い」。「でもやりたいから、仕方ないですよね」
企画を考え、実践し、動画をアップする。そんな毎日を、二人は異口同音に楽しいという。
「ぼくらは学生の頃の夢が叶った先にいる。夢が叶うと、別の景色が見えるんです」(トミー)
高いと思っていた丘に登ったら、もっと高くてとんでもないものが見えた。だから、いまいる丘を下りて、今度はさらに高い丘に登る。
「ひとつの目標を達成したら、壊してまた作る。常に挑戦していることが、めっちゃ楽しいんですよね」(同)
スター街道を駆け上がったお笑い界の大御所たちも、かつてはこんな日常を送っていたのかもしれない。二人は数百万人の視聴者を前に、「おもしろい」を追求して現実にしていく。
「夢はどんどん叶っているけど、次々に現れる。ここにみんなが立たせてくれたから、その景色を全員に見せてあげないとエンターテインメントじゃない。400万人に新しい景色を見せたいんです」(同)
(ライター・仲宇佐ゆり 編集部・熊澤志保)
※AERA 2019年9月9日号より抜粋