今回用意する炭酸飲料の中には、容器の口が狭く、市販のメントスの大きさでは入らないものもあったので、事前に粒を割っておかなければなりません。

 Kくんは作業をしながらも、早く実験したくてうずうずしている様子がうかがえます。

 一通りの準備を終えて、我々は実験場所となる鴨川デルタへ向かうことにしました。

 移動途中にあるコンビニエンスストアや自動販売機で炭酸飲料を調達します。そして、いよいよお待ちかねの実験のスタートです!

「やばい、きたきたーー!!」

 地面に置いたコカ・コーラのペットボトルにメントス3個を手際よく投入すると、泡が一気に吹き上がりました。勢いよく中身が飛び出す様はまるで火山の噴火のようです。

 とは言え、すべての炭酸飲料がそのようなわかりやすい結果になったわけではありません。

 中には、シュワシュワ泡立つものの、容器から全くあふれないケースも存在しました。(CCレモン、レモンスカッシュ)

 実験の結果、内容量が半分以下になったのは、「コカ・コーラ」「三ツ矢サイダー」「ウィルキンソン」の3種類でした。(並びは順位)

 教室に戻り、Kくんは満足げな様子でノートに結果をまとめます。

 しかし、次にやることを考えるなかで、新たな疑問が頭をもたげてきました。

「炭酸飲料のシュワシュワって何なんやろ?」

 これまで当たり前のように感じていたものの不思議さにふと気づいたのです。彼の探究スイッチがオンになった瞬間だと言えるでしょう。

 早速インターネットで調べてみると、炭酸飲料の基本は、水に二酸化炭素を溶かした「炭酸水」であることが判明しました。

 そして、「炭酸水」はクエン酸と重曹があれば、手軽に自作できるとのこと。

「僕も炭酸水を作ってみたいなあ」

 Kくんのプロジェクトは、単なるメントスコーラ実験に留まらず、さらなる探究活動に発展していくことになりました。

AERAオンライン限定記事

○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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