「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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仕事をする上で、「未来が明るい」と思えることは非常に大事です。未来が暗いところでやる気を保つのはなかなか難しいことです。仲間をモチベートすることも、未来が暗いと叶いません。ワクワクするような未来の姿を一緒に語り合い、共有することがとても大切だと考えます。
松下幸之助さんの言葉に「人間は磨けば輝くダイヤモンドの原石」というものがあります。どの人にも必ず磨けば光るところがある。それを見つけて、磨き上げるのがリーダーの役割だと。
かつて勤めていた三菱商事時代の上司から「営業マンとしては素晴らしい。でも、経営者になりたいなら、もっと磨かないといけないところがある」と言われたことがあります。
もっと広い視点で見なければいけないと思いながらも、どうすればいいか分からない。悩んでいた頃に出会ったのが、先の松下さんの言葉でした。
自分の仕事から一歩引いて、仲間の得意分野を見つけたり、仲間が才能を発揮できているかを考えてみたりすることで組織の雰囲気もガラッと変わったりします。
「自分でやったほうが早い」と一人でこなしてしまいがちですが、それでは自分の力以上のパワーを発揮することは難しい。皆のよいところをより伸ばし、明るい未来に向かって5人、10人と組織で戦うことで、何倍、何十倍もの仕事につながります。
すべての分野でリーダーが一番秀でているなんていうことはありません。明るい未来を語り、仲間がそれぞれの力を発揮し、輝ける環境を創り続けること。それこそが、リーダーの仕事であると考えます。
コンビニ業界も、今は変革期。これからもオーナーの皆さんと一緒に「明るい未来」を創るために努力を続けていきます。
※AERA 2019年9月2日号