竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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渋野選手がこの笑顔で快挙を成し遂げたように、ビジネスの現場でも笑顔で力を発揮できるような環境をつくっていきたいですね (c)朝日新聞社
渋野選手がこの笑顔で快挙を成し遂げたように、ビジネスの現場でも笑顔で力を発揮できるような環境をつくっていきたいですね (c)朝日新聞社

「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 ゴルフ全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手のプレー、見終わった後も興奮して寝つけませんでした。初日から1打差2位で発進。3日目には2打差で単独首位に。メジャー初出場で、相当なプレッシャーもあったと思います。それでも初日から変わらぬ笑顔を見せてくれました。

 最終日、ハーフターンでは3位タイに。正直、ズルズル行ってしまうのかと思ったところにシブコスマイル。後半驚異的に追い上げ、そして、運命の18番ホールです。

「パーで上がればプレーオフ、ボギーだけは打つまい」とネガティブなことを考えてしまいそうですが、キリッとした表情でスパッとドライバー一振り、ど真ん中をキープ。最後に放ったパットは薄く、強く、カベドン!!

 世界が注目する舞台であどけない笑顔を見せつつ、ちょっとべたなお菓子を無邪気に食べられる感覚にも新しい時代の到来を感じました。

 テニスの全米オープンで大坂なおみ選手が優勝したときとなんとなく似ているような気がしています。とんでもない努力とたくさんの悔しい思いもしてきた中で迎えた、想像もつかないプレッシャーがかかる大一番。でも、それを感じさせない笑顔で、どこかあっけらかんとしている。

 こういう人たちが、これからの世界に新しい価値をどんどん生み出していくんだろう。そんな感じがしました。

 これまでスポーツ選手は優勝争いの際、誰も寄せ付けない“ゾーン”に入るイメージがありました。でも渋野選手は、新しいゾーンを生み出した。プレッシャーに打ち勝つのではなく、プレッシャーを力にする。これまでの努力と悔しさと根性を笑顔に変えたときに出せる力は、「日の丸を背負って」と意気込んで出す力とまた違うのでしょう。

 これからもシブコ流で頑張ってください。本当に大感動をありがとう!

AERA 2019年8月12-19日合併増大号

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