■海外の旺盛な需要で7000円台も

 もちろん、純金積立を長期間行って、投資した資金以上の資産を築くためには、今年や来年といった短期スパンではダメだ。5年、10年という長期スパンで金が右肩上がりの上昇を続けることが条件になる。

 この金価格の動きに個人もざわついており、貴金属会社大手の田中貴金属には、純金積立に関する問い合わせも増えているという。すでに金を保有している人が、売却などの相談で店舗を訪れるケースも後をたたない。金の価格上昇は今後も続くのだろうか。国内金価格はすでに5300円を突破。今の価格は高すぎるようにも見えるのだが……。

「高値づかみの心配をする必要はありませんよ」
と豊島さん。その理由は、金に対する需要と供給のギャップにある。

「有史以来、採掘された金の総量は国際基準プール約4杯分ですが、残っている1.5杯分の大半は海底に眠っています。海底から金を採掘するには膨大なコストがかかり、金の価格が現在の8倍以上の1万ドルになっても採掘コストに見合わないため、金の生産量は今がピークです。世界の金鉱山会社の新規開発案件も停滞気味。唯一期待できるのは『都市鉱山』のリサイクルだけですが、リサイクルでは金を再生することはできても、供給総量を増やすことはできません」(同)

 現在の年間の金の生産量の5割以上を買い占めているのが、計27億人の人口を擁する中国とインドだ。また、ドバイの買い意欲も強い。

「中国、インド、ドバイ。いずれも金を好む国民性で、金の価格が少しでも下がると、インドのムンバイでも中国の上海でも町内の貴金属店に行列ができるほどです。その需要が、中国沿岸部から内陸部、インドの富裕層から中間層にまで広がっています。これらの国の金の需要増加はまだ始まったばかりです。

 さらに中国政府は、米中貿易戦争の余波で、外貨準備高の大半を占めていた米国債(すなわちドル)を売り、代わりに外貨準備高における金の割合を引き上げつつあります。超長期的に見たら、国内価格が1グラム=7000円台まで上昇してもおかしくない」(同)

 金価格が変動相場制になった1973年以降、一時的な上がり下がりはあっても、長期的に見れば結局は右肩上がりで推移してきたことが、確固たる数字として残っている。「今は高い」「もう少ししたら」と言っていたら、結局また5年後に「もっと高くなった……」とつぶやくことになるかもしれないのだ。そう断言できるだけの、確たる材料はそろっている。

(取材・文/安住拓哉、伊藤忍)

※アエラ増刊『AERA with MONEY 毎月3000円で純金投資』の記事に加筆・再構成

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