三嶋愛さん(23)/愛してやまないのは前方後円墳。中でも福岡県八女市にある「岩戸山古墳」は、「結婚したいナンバーワン古墳です(笑)」。福岡県筑前町の焼ノ峠古墳で(写真:本人提供)
三嶋愛さん(23)/愛してやまないのは前方後円墳。中でも福岡県八女市にある「岩戸山古墳」は、「結婚したいナンバーワン古墳です(笑)」。福岡県筑前町の焼ノ峠古墳で(写真:本人提供)
まりこふんさん/緑鮮やかな巫女コスチュームに身を包み、古墳への愛を歌う。『古墳の歩き方』(扶桑社)など古墳の本を出し、観光バスの古墳巡りで案内役も務める。東京都府中市の武蔵府中熊野神社古墳で(撮影/伊藤壮)
まりこふんさん/緑鮮やかな巫女コスチュームに身を包み、古墳への愛を歌う。『古墳の歩き方』(扶桑社)など古墳の本を出し、観光バスの古墳巡りで案内役も務める。東京都府中市の武蔵府中熊野神社古墳で(撮影/伊藤壮)
阿部みどりさん(37)/両手に持っているのは、自身がつくった古墳アクセサリー。古墳界では「みどりん」の愛称で知られ、古墳にコーフン協会の山梨支部長でもある(写真:本人提供)
阿部みどりさん(37)/両手に持っているのは、自身がつくった古墳アクセサリー。古墳界では「みどりん」の愛称で知られ、古墳にコーフン協会の山梨支部長でもある(写真:本人提供)

 古墳に夢中になる「古墳ガール」が全国に増えている。仁徳天皇陵とされる大山(だいせん)古墳などの「百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群」が7月6日に世界遺産に登録された。世界遺産登録が「古墳ガール」たちの古墳愛をさらに加速させている。

【巫女コスチュームに身を包んだ「まりこふん」さんなど、古墳ガールの写真をもっと見る】

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「もう、かわいくて」

 キリンビールに勤務する三嶋愛さん(23)は、楽しそうに話す。同僚たちから「古墳ちゃん」と呼ばれるほどの古墳好き。古墳がかわいくて仕方ないという。

「前方後円墳のくびれ部分や曲線美は、見れば見るほど魅力的。岩がむき出しになっているイケメン古墳もいます」

 と語り出したら止まらない。

 古墳とは、3世紀後半から7世紀末にかけてつくられた皇族や地域の豪族たちの墓。その古代人の墓に夢中になる、三嶋さんのような「古墳ガール」が今、全国に増えている。

 福岡県出身の彼女が、古墳愛に目覚めたのは小学生のとき。郷土史会の会長だった祖父と一緒に地元の古墳を見に行くようになると、その大きさや形に魅せられた。近くに古墳がある高校を選び、大学では地域創生を学び、古墳をテーマに論文を書いた。キリンビールへの就職を決めたのも、同社が2年ほど前に発売した、古墳をあしらったビールの「デザイン缶」を見て感動したからだ。

 クッション、文房具、食器など、自宅は古墳グッズであふれ、休日は「墳活(ふんかつ)」と呼ぶ古墳巡りに出る。巡った古墳は300基近く。古墳と一緒に写真を撮ってインスタグラムに上げるのが楽しみだ。

「私の人生の節目に古墳があります。古墳は私の原点であり、アイデンティティーでもあります」(三嶋さん)

 茨城県にも古墳ラバーの女性がいる。女子高生のヨスミナミさん(15/アカウント名)だ。

「格好いいです。大きな古墳は、抱きしめてくれるというか、包容力を感じます。神秘的で、パワーをもらえます」

 小学4年の時に古墳のアニメを見て興味を持った。実物を見たいと親に連れていってもらい、ますます好きになった。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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