〇友達に乱暴をする(Bちゃん、2歳男の子)
Bちゃんは、普段から友達のしていることが気になる子。先生の気をひきたい気持ちが人一倍大きい「かまってちゃん」です。今まで関わっていなかった友達のところに突然行って、押して玩具を取り上げたりすることもあります。子どもが友達に乱暴をしてしまった時に保育士は、
(1) ギュッと抱きしめる
(2) 「〇〇がしたかったんだね」と気持ちを受け止め代弁する
(3) 「でも、お友達、痛いって泣いているよ」と伝える
という対応をします。この時、感情的になってはいけません。落ち着いてゆっくりです。
親は、子どもが乱暴をした相手やその親がいたら謝りましょう。自分の親が謝る姿を子どもに見せることも大切です。取ってしまったおもちゃは「おもちゃが欲しい時はなんて言ったらいいのかな?」と聞き、子どもの返事を待ちます。難しければ「“かして”っていうんだよ」と伝えます。
●乱暴は言葉で伝えられないから
2、3歳ごろの子どもは、友達を叩いたり、押したり、噛んだりすることがあります。親としては困ってしまう行動ですが、どうしてこうするかと言うと、「言葉で伝えられないから」です。普段、少しずつ会話ができていたとしても、とっさの時はうまく言葉を出すことができず、気持ちからの行動が先に出てしまうのです。「ダメ!」と何度も言っても、またくり返すこともあるでしょう。
この場合、一番気を付けることは、「友達にけがをさせないこと」です。けがをさせてしまったら、相手の子どもを傷つけますし、何より、傷つけてしまったこちら側も傷つきます。もめていても、危険がなければ見守るだけで大丈夫ですが、「危ない!」と思ったらすぐに止められるように、そばで遊ぶ様子を見守りましょう。
おもちゃを取られてばかりの子も、友達に乱暴をする子も、1回伝えただけで、次から変わるわけではありません。何度も何度も繰り返して伝えていく必要があります。何度も友達とのトラブルを経験していくうちに、人との距離感や「何をしたら友達が嫌がるか」「どう言えば友達と楽しく遊べるか」などがわかり始めます。友達とのルールがわかって協調遊びができるようになるのは、4、5歳ごろ。大らかな気持ちで気長に取り組んでください。
※AERAオンライン限定記事
◯中田馨
なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。