「消費税『廃止』を訴える山本議員と『凍結』という曖昧な態度の枝野議員では、どちらが生活者の味方かはっきりしている。永田町の論理ではなく本気で安倍政権に戦いを挑んでいる姿勢を見ていると、自分も頑張らなくてはと勇気が湧くんです」

 もう一つの特徴は、山本議員の「動画」を見ていることだ。SNSを駆使する戦略は近年の社会運動の定石だ。

 日本政治思想史に詳しい中島岳志・東京工業大学教授(44)は、山本議員と2年前の枝野氏は重なる面があると語る。

「政策より社会を取り巻く状況が物語を作るとすれば、逆風の中、一人で立ち上がるという点で2人の立場は酷似している。ただ今回、立憲民主党は結党時のような物語を演出できず、有権者には沈んで見えている」

 また、山本議員は枝野議員には届かない支持層にリーチできる可能性があると、こう続ける。

「山本議員はガタイがしっかりしており、体育会系の熱っぽいノリも感じる。これは地方のマイルドヤンキー世代に受ける。また、TPP反対という約束を自民党に反故にされたJAや、過疎地で景気回復が実感できない青年会議所など、地方の自民票を取り込む可能性もある」

 一方、多くの財源が必要な彼の経済政策は、単独では実現できない。野党共闘を目指す議員関係者からは、政治行為そのものが目的で、戦略的に政権交代する発想がないのではと疑問視する声が上がるのも事実だ。(編集部・中原一歩)

AERA 2019年6月24日号