「見ないのに、なんで解約しないんですかあ?」
若い子には、キラキラした目でそう聞かれそうだが、実はこれには、面倒以外にもワケがある。この手のサービスでは、ひとつのIDを家族らとシェアできるものも多い。自分の場合は、韓流ドラマフリークの母親が、私のIDでNetflixなどを視聴。同じIDで同時にアクセスできない契約のため、たまに見ようとすると母親が見ていて入れない、なんてこともたびたびある。
だからといって月1千円前後という絶妙な料金設定だし。これをケチって母親の楽しみを取り上げるわけにもいかない。同じように、IDをシェアしている家族に気兼ねして、動画や音楽配信のサブスクサービスを解約できずにいる人は意外に多いらしい。
そういえば音楽系のサブスクにも複数入っている。まず皮切りは、日本では2000年代に始まり、CDショップを丸ごと買ってしまったような高揚感とともに入会した音楽配信サービス「ナップスター」。ここからいくつか乗り換えて、今は「Spotify(スポティファイ)」の会員だ。またAIスピーカーを買ったついでに、「Amazon Music」の有料版にもうっかり加入。
ただし、うるさいAIスピーカーのケーブルを抜いてしまったのと同時に、入っていることも忘れていた。思い出して久しぶりに使ってみると、大物アーティストの楽曲も増えていて、お得感もプラス。まあ、結局はCDやデータで持っている楽曲をオンラインで聴いているだけだけど、すぐに見つけられるのは便利。
そういえば自分はこのほか、電子書籍の読み放題「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」なんかにも入っていたっけ。目が10個とか耳が10個あるサブスク向けの構造に人間が進化するその日まで、忘れないようにせねば。(ライター・福光恵)
※AERA 2019年5月27日号