赤ちゃんは生まれたての時、「おなかがすいた」「眠たい」「おしっこが出た」など生理的欲求を訴え泣きます。生まれた直後には、よく泣く子、あまり泣かない子という個性はあるものの、目に見えた発達の大きな違いはありません。しかし月齢を重ね、保育所や子育てサークルなどの集団生活を経験すると「〇〇ちゃんは寝返りができているのに、うちの子はまだできない」などの発達のスピードに違いを感じ、心配することがあるのではないでしょうか? 今回は、子どもの発達について考えます。
■発達には個人差がある
「発達には個人差がある」ことは私が言わなくても、みなさん、わかっていると思います。でもあえて、ここで再認識してください。「発達には個人差がある」とわかっていながら「自分の子どもよりもできている」と比べてしまうのは、親がみんな持つ感情。「うちの子には何か問題があるのではないか?」と思ったり、発達が早ければ早いほど「優秀」という感じがしたり、発達が遅ければ何だか負けた気分になったりすることもあります。もし、そんな気分になった時は「発達には個人差がある」と思い出し、自分の子どもに向き合います。ここからは、例を挙げながらその向き合い方を話します。
■できていない発達だけに注目しない
発達の個人差を感じるのは、自分の子どもができていないことを他の子ができている時です。7カ月ごろの2人の赤ちゃんを例に挙げてみます。Aちゃんは、ずりばいを始めました。Bちゃんは、寝返りを始めたばかり。Bちゃんのお母さんはAちゃんを見ると焦りを感じるかもしれません。
ここで大切なのは「ずりばい」という発達だけに注目しないことなのです。Bちゃんは、どちらかと言えば自分から動かないのんびりタイプ。今は動こうとしないけれど、よく喃語(なんご)を言いながら周りの景色やお母さんのすることを観察しています。食べることが大好きで離乳食をよく食べてくれます。
「ずりばい」などの「動く」ことは発達の中でも目立つ部分なので注目が集まりがちですが、発達には「身体」「手指」「心」「言葉」「五感」などさまざまあるのです。まだできていない発達に注目せず、子どもの興味関心を見つけることからスタートしましょう。