ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
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たとえばホワイトシチューにグリーンピースなら2歳児でも描けそうじゃないですか。緑でぐりぐりって。ルッコラはその対極ですよね。形が複雑で、色も紫がかっていたり、グラデーションになっていたりして。お絵描きじゃなくて、絵画。クラシカルで大人っぽくて、主役感がある。お皿の上にいるだけで「ここはヨーロッパ」っていうステキ感が出ます。
白身魚のソテーやカルパッチョには、やっぱりルッコラ。ちょうど欲しいぐらいの苦みがうれしい。ソースはオリーブオイルと塩で十分です。ステーキやデミグラスソースのハンバーグにはクレソンなんでしょうけど。僕は魚を食べるから、余計にルッコラをステキに感じるのかもしれません。
でも見た目、そこら辺に生えている野草っぽい感じもあるんです。もし地べたに生えてたら、「あ、草だな」って思いません? それがお皿に上がると、主役級の存在感を放つ。周りがみんなお上品な育ちな中で、庶民出身のやつが歌ってみたらめちゃくちゃうまいじゃん、みたいな感じですか。痛快ですよね。
※AERA 2019年4月22日号