ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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 地方は相変わらず、ため息しか出ない状態であることは先日書いた通り。政府は3月11日、地方創生の次期戦略をつくる有識者会議を開きましたが、座長の増田寛也氏は岩手を滅茶苦茶にした実績が際立つし、担当大臣の片山さつき氏は選挙区以外の地方にはマッタク興味がない。安倍さんの悪口だけは確かに言わない人なので、今のポジションがあるわけだ。もう少し実情が理解できている人を起用しないとどうしようもない。

 産経デジタルの記事(同日更新)にこうあります。

「この日の初会合では大学進学を契機に東京に転入することが多い高校生を地域の担い手として育成する仕組みづくりの必要性についての意見が上がった」

 おい!! である。原因が不明な(本人たちがマッタク理解できていない)ことに、また金を使うわけです。何度も言いますが、みなさんは自分の財布が目の前で燃やされていて平気なんですかね。「言い過ぎだ!」とか「大人げない」とか言う人、どんな大人なんだよ、君たちは(笑)。

 未来ある高校生の選択肢を減らして地域を支えさせる前に、今の大人がやることあるだろうよ、と思いませんかね? 江戸時代でさえ優秀な若者を江戸や長崎や海外に出し、地域から逸材が生まれたことに胸を張り、その人もゆくゆくは地元のために功績を残されたこともたくさんあるわけです。地域の未来をどう支えるかは彼らに託せばよく、今の大人が高校生たちを担い手として……は違うと思う。

 ちゃんと現実と向き合って仕事するのが大人の役目です。まず座長自らが率先して、これまでの会議が多大な予算や公務員の労力を費やしてきた政策の成果という厳しい現実と向き合って頂きたい。一方で、若者たちにはもっと自由に好きなところへ旅立ち、経験を積むことを優先させたい。そのために税金を使うならワタクシは喜んで払います。

 税金を使うな、とはこの際言いません。ただ、有効に使ってほしい。一つのアイデアはマッチファンディング。政府に「補助金3億円くれ!」というときはまず、3億円を自前で調達する。寄付でも出資でも、税金以外の形で調達する。3千万円しか集まらなければ政府から3千万円を補助金で出してもらって、事業規模を6千万円に縮小する。オガールがやって成功した手法で、アメリカの地方自治体などではかなり一般的です。「公園が欲しいよ~」と住民が思えばまず寄付などを集め、同じ額を補助金として政府に出資してもらうわけです。

 公園ほしいですか、とアンケートすればノーと言う人はいません。しかし一人頭5万円の税金を払うとなれば90%の人はノーでしょう。人の金だからどーでもいい、というのが残念ながらこの国のレベルというしかありません。

AERA 2019年4月1日号