「18年の1月下旬におなかに違和感を覚え、下痢かと思ってトイレに行くと、便器一面が真っ赤になるほど下血しました。さすがにこれはまずいと、受診を決意しました」

 女性医師の診察予約ができる近所の胃腸科・肛門科医院を探し、診察を受けた。問診と触診で「下血は痔によるものだと思います」と言われたが、「念のため」と勧められた内視鏡検査で大腸がんが見つかった。精密検査の結果、がんは直腸で発症し、大きさから見てステージ1か2と判断された。

 4月上旬に入院し、約1カ月後から職場復帰。残業も仕事の持ち帰りもあり、忙しさは入院前と変わらない生活に戻っている。女性はこう振り返る。

「下血が大量でなかったら、今回も受診しなかったかもしれません」

 もっとも、血便が大腸がんにつながる自覚症状だと知っていれば、下血を見る前にこの女性の行動は変わったかもしれない。

 前出の古畑さんは訴える。

「がんで命を失わないためには、早期発見、早期治療が重要です。ほかの部位では、症状が出たときには治療が難しくなっている場合もありますが、大腸がんは症状が出てからでも治療可能な場合が多い。ステージ2でも5年生存率は8割を超えます。自覚症状があれば、怖がらず、すぐに病院に来てほしい」

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2019年3月11日号より抜粋

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