慰安婦問題や領土問題に加え、近年のレーダー照射問題や「徴用工」問題で、さらなる悪化を見せる日韓関係。しかし韓国の人々の対日感情は、世代によって大きく異なっているようだ。特に若い世代は、日本を特別視はしていないという。
* * *
日本への感じ方は、世代による差も大きい。
日本と韓国の両国でアーティスト活動をしている韓国人女性(36)は、小学生の頃から「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ」などの漫画、「風の谷のナウシカ」などジブリに代表されるアニメを見て育った。そして、高校生になって憧れたのが東京・原宿を震源地とする「KAWAII」文化だった。
女性によると、若い世代ほど日本に親しみを持っている一方、日本を特別な国だとは思っていないと語る。
「若い世代にとって日本はLCCもあるので手頃な旅行先なんです。食べ物はおいしいし店員も親切。日本製の化粧品は安くて品質がいいので人気が高い。格差と競争が厳しい韓国社会に比べると、日本は物価も安く暮らしやすい。韓国では若者が夢を追いながらアルバイトで稼いで生活することは不可能。その意味ではバイトの職種も時給もいい日本がうらやましく思います。ただ特別な国では決してないんです。私より下の子は生まれた時から、韓国も日本と同じ先進国でしたから」
周囲に「日本嫌い」の友人はいないのだろうか。
「サッカーと政治については日本に敵対心を燃やす人もいる。けれども、それは30代以上の世代に多い。10代、20代の情報源は全てネット。中学生になるとユーチューブなどの動画メディアでタイやインドネシアなどアジア各国のアーティストの音楽を聴いている。もはや日韓という二国間関係だけに収まりきらない。そんなグローバルな世界観で育った若者にとって、両国の難しい政治問題はどうでもいいんです」
日本のシンクタンク「言論NPO」と韓国の「東アジア研究院」の共同調査によると、日本では13年からの5年間で韓国への印象が「良くない」または「どちらかと言えば良くない」と答えた人の割合が37.3%から46.3%に増えたのに対し、韓国では日本への印象が「良くない」または「どちらかと言えば良くない」と答えた人が、76.6%から50.6%に急減したという。