5大検診だけでいいの? ピロリ菌検査やほかのがん検診は受けるべきか? もしもがんになってしまったら、どんな基準で病院を選べばいい?
がんに関する疑問は尽きない。
医師たちはどう考え、何を選ぶのか。AERAが医師専用コミュニティーサイトMedPeer(メドピア)の協力のもと、1月下旬に行ったアンケートによると、時に医師の考え方も割れることが見てとれる。
胃がんとの関連が指摘され、除去が胃がん予防に有効とされるピロリ菌だが、多くの医師はすでにピロリ菌検査を行っているのだろうか。結果は「検査した」が53%、「検査していない」が47%とほぼ半々に割れている。
メドピアCEOの石見陽医師は、こう分析する。
「一般の人と比べれば、医師はかなり高い割合で検査を受けているのでは。ピロリ菌と発がんの関係性が深いとわかったのは最近のことです。検査して除去しておくという医師は、今後一層増えていくと思われます」
5大がん以外のがん検診を受けていると回答した医師は、540人中103人で約20%。うち6割の内容は「前立腺がん検査(PSA)」だった。
前立腺がんは男性特有のがんだ。加齢とともに罹患者は増加し、80歳以上の20%近くに前立腺がんがあるとされる。
PSAは前立腺がんの腫瘍マーカーで、血液検査で調べられる。PSA検査を行えば早期発見が可能だが、一方で過剰診断も指摘されている。
「やはり医師もがんになるのは嫌なので、一度は調べておこうという考え方では」(石見医師)
がんに苦しむ患者を知っているからこそ、がんは「ないほうがいい」という考えを持つのかもしれない。
日本での接種率は1%未満という子宮頸(けい)がんワクチンについては、自分なら接種するかどうか(男性はもしも女性だったらという立場で回答)を尋ねたところ、約60%が「する」を選択。「しない」は19%、「どちらともいえない」が21%だった。一般と大きな意識格差があるようだ。
報道でも知られるがん検診での見落としに関しては、多くの医師が冷静な見解を示した。「100%はあり得ない」「検査の限界もある」との回答が多数を占め、見落としを避けるためには「ダブルチェックの徹底」「画像診断にAIを導入すべき」といった声が目立った。