“Get out of your comfort zone and take risks!(ぬるま湯から飛び出し、リスクを取ろう!)”

 GSBのロバート・ジョス学長が強調していた言葉である。原子力部門のなかでも安全設計が専門だった筆者にとって、リスクは極小化するものであり、積極的に取るものではなかった。もちろん、GSBでリスクを取るといった場合の意味は原子力の場合とは異なり、経験のないことや苦手なことでも挑戦してみることを指しており、仮に失敗しても失うものはなにもなく、一方で成功した場合のアップサイド(成長余地)は青天井である。筆者はこの精神にのっとり、学生委員会のなかで、もっとも影響力が高くかつ人気の高い、Academic Committee(AC)に立候補することを決めた。

 ACは学生代表として、GSBでの教育にかかわるあらゆる事柄について教授や大学のスタッフに要望を出して改善のイニシアチブを取ったり、学生に対する学業面での種々の支援活動を企画・実行したりする、非常に重要な任務を帯びている。クラスのなかから5名のAC委員が選出されるのだが、選挙を勝ち抜く必要がある。立候補者は、いずれも弁が立ち、学業優秀かつ課外活動にも積極的なリーダーシップあふれるクラスメートたちである。とても勝ち目がないと思ったが、インターナショナルの視点をACに導入すべきというセールスピッチを展開し、2倍の倍率を突破して当選することができた。

 ACでは、Distinguished Teaching Award(DTA)というGSBの最優秀教授賞の授賞式をとりしきる委員長を務めた。筆者がDTA委員長だった年には、クラスメートによる厳選な投票の結果、現在GSBの花形教授の一人であるヨッシー・ファインバーグ教授を選出した。授賞式では、筆者からファインバーグ教授に賞を手渡すという、今から考えるとなんとも畏れ多いイベントが執り行われた。

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