著名な起業家本人から創業時の逸話等が聞ける絶好の場であるが、学生の利便性を考慮してオンラインで聴講する選択肢も提供されていた。ある講義の日、多忙だったためオンラインを選択した。その日の講演者は、SpaceXのイーロン・マスクCEO。同氏の名前は聞いたことはあったが、GSBでは、Appleのスティーブ・ジョブズCEOやAmazonのジェフ・ベゾスCEOと直接会ったことがあったため、オンラインでいいだろうと安易に考えてしまった。今では、GSBの恵まれた環境について自慢するネタとして、紹介するようにしている。
2年目の最終学期にアーブ・グロースベック教授のManaging Growing Enterprisesという看板授業を受講したときに、教授から教わった以下の言葉が、卒業以降の行動指針となった。“Regret for the things we did can be tempered by time; it is regret for the things we did not do that is inconsolable.(行動を起こしたことに対する後悔は時とともに薄らいでゆくが、行動を起こさなかったことに対する後悔は一生薄らぐことがない)”
立岩健二
京都大学・同大学院にて原子力を専攻し、1996年東京電力に入社。新型原子炉の安全設計等に従事していた2000年代初頭、「黒船」エンロンの国内電力市場への参入により業界に衝撃が走ったことをきっかけに、日本のエネルギー基盤を支えられる「技術のわかる経営者」を目指し、2004年にスタンフォードMBA取得。東電復帰後、日本の電力会社初となる海外原子力事業への出資参画を主導するも、東日本大震災で白紙撤回となる。国際機関と連携して福島第一原発事故対応に奔走するかたわら、日本のエネルギー基盤を「アンチ・フラジャイル」に立て直すための構想を検討。この一環として、「分散コンピューティングによる再生可能エネルギーの導入量最大化と電力系統の最適化」事業を考案。当事業を社会実装するプラットフォームとして、株式会社アジャイルエナジーXを2022年8月に東電の社内ベンチャーとして設立し、代表取締役社長に就任。