留学中にもっとも印象的だったことの一つは、クラスに貢献する、というGSBのカルチャーに基づき、卒業直前にプエルトリコ人のクラスメートと2人で企画実行したプロジェクトだった。“Consolidation of Learnings at the GSB”と称したこのプロジェクトでは、2年間の学びの要点をクラスメートからボランティアを募ってとりまとめ、CD-R(当時の最先端ITツール!)に焼いて全クラスメートに配布し、大いに感謝された。
各種課外活動を通してGSBコミュニティに大きく貢献したクラスメートが選ばれるStudent Association Presidents’ Awardを受賞し、学内新聞に掲載してもらったことも励みになった。GSBのクラスメートは皆、厳しいカリキュラムや就職活動をこなしつつも非常に幅広い課外活動に精力的に取り組んでおり、このような多様な経験を積むことが、広く柔軟な視野をもったバランス感覚に富むリーダー人材を育むうえで重要な役割を担っていると感じた。
GSBは、ファイナンスのコール・オプションに似た環境を提供してくれる場所ではないかと考えている。つまり、リスクを取ってさまざまな活動に果敢にチャレンジして失敗したとしても失うものはなにもない(ダウンサイドは有限)一方で、成功した場合に得られるものは多大である(アップサイドは無限)ということ。そして、オプション理論が教えるようにオプション価値はボラティリティ(=リスク)が大きいほど高くなるので、大きなリスクを追求すればするほど高い価値が得られるのである。
GSBでの2年間は、学業、課外活動、遊び等、あらゆる分野で全力疾走し続けた。あまりにも多くの魅力的な機会がありすぎて、優先順位づけすることに日々苦労したが、なにかをやるかやらないか、迷ったときには、とにかくやることを選ぶように心がけた。ただ、後悔していることもある。2年目にEntrepreneurial Thought Leaders’ Seminarという授業を受講したときのことだ。