「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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いま、国会では外国人労働者の受け入れ拡大が議論されています。受け入れ業種や人数など細かい制度設計は法律の制定を待つ必要がありますが、コンビニエンスストア(CVS)の仕事が特定技能になるかどうか注目しているところです。人手不足のなか、今後、外国人の方々にどういう形で一緒に働いていただくかは、私たちにとっても大きな課題です。
現在ローソンで働いていただいている外国人のクルーの方は約1万2千人(2018年10月末時点)。クルーの皆さん全体の6.1%、都市圏だと約3割に上ります。大半が留学生のアルバイトで、原則として勤務は週28時間までと上限が定められています。外国人の皆さんがCVSで働くには、相応の語学力とコミュニケーション能力が必要です。それゆえ、皆さん勉強熱心な方が多く、日本語の上達スピードも速く、オーナーの皆さんにも信頼されています。
大学や専門学校を卒業した後、そのままオーナーさんの会社への就職を希望する方もいます。法改正で、将来的にコンビニ業界にもっと外国人労働者の門戸が広がる可能性があるのなら、私も賛成です。
ただ、同時に重要なのは行政が作ったしっかりとしたルールを採用する企業が順守すること。コンビニの経営や技術を習得してもらうにはどういう仕事を任せるべきか。研修体制や賃金体系も含め、受け入れる側の企業がルールに基づく準備ができているかが、とても大切になります。
いまの時代、外国人労働者は「安価な労働力」ではありません。ルールが順守されているかどうか管理、指導していくのは本部の責任です。
まずは地域の優良オーナーさんの店舗から受け入れを始め、見つかった課題を行政にも開示しながら修正していく方法もあるかもしれません。
外国人の方々がコンビニで働くことで知識やノウハウを身に付け、それが自国の小売店の発展にもつながる。そうした働き方が可能になる制度になればと思います。
※AERA 2018年12月3日号