パナソニックも、カーステレオなどの車載関連の製品の生産拠点を、中国から他の国に移すことを検討しているという。トヨタ自動車グループの部品メーカーのデンソーは、中国で調達した部品を米国に輸出しており、「状況を注視して影響を見極めている」(広報)という。
賃金が高騰する中国では、米国など他国の企業でもタイやベトナムなどへの工場移転の動きが広がっている。大和総研のエコノミスト、小林俊介氏は言う。
「今後5年、10年でみれば、中国は『世界の工場』としての役割にとどめを刺された形だ」
国際通貨基金(IMF)は10月の世界経済見通しで、米中摩擦などを背景に、今年の全世界の成長率を3.7%とし、前回7月の予想から0.2ポイント引き下げた。IMFが予想を引き下げるのは約2年ぶりだ。IMFは、これまでの米中関税合戦は、米国のGDPを長期的に0.3ポイント押し下げると予想。米国が自動車に25%の関税をかけ、他国が対抗措置に踏み切れば、0.9ポイントの押し下げにつながると予想する。(朝日新聞GLOBE編集部・五十嵐大介)
※AERA 2018年11月5日号より抜粋